●写真:夕陽と川・ススキ
夕陽が川面を金色に染めながら、
風の向きだけを頼りにススキが揺れていた。
その光の時間だけは、
世界が立ち止まったように静かだった。
自然は、ただそこにあるだけで完璧。
あの日の畑は、まさにそんな姿を見せてくれた。
●写真:自然発芽の大根・白菜・春菊・ネギ




土の上に並んだ今日の恵みは、
まるで自然が書いた日記のページのようだった。
種を蒔いたわけでもない
肥料をあげたわけでもない
耕したわけでもない。
ただ、
光と雨と土に任せていたら育ってくれた命。
自然発芽の大根、白菜、春菊、ネギ、ニンジン。
形も大きさもバラバラだけど、
どの子も力強い。
掘り立てのネギの香りが
鼻から脳までスッと抜けて「今日も生きてる」と実感させてくれる。
鍋に放り込めば、
その日の畑の香りと味がそのまま湯気になる。
🌱 “なにも引かない命”とは?
(自然農の本質にある思想)
“なにも引かない命”。
この言葉には自然農の哲学がすべて詰まっている。
■ 1. 命を弱らせる手出しをしない
耕す、肥料を入れる、草を抜く。
それは「人間の都合で命から何かを削る」行為でもある。
自然農はその逆。
削らない。奪わない。
本来の生命力をそのまま残す。
■ 2. 命ははじめから完全だと信じる
光
雨
土
風
時間。
本来、この世界はそれだけで命が満ちていく。
人が何かを“足す”ほど、
命は“引かれてしまう”こともある。
自然農は
命の完全性を信じて任せる農。
■ 3. 形を揃えず、あるがままを尊重する
曲がった大根も
小さな白菜も
細いニンジンも
全部その子だけの個性。
揃えるための“引き算”をしない。
これが自然農の美しさ。
■ 4. 命の流れを奪わない
前年落ちた種が
冬を越えて
ちょうど良い時期に発芽して
風と雨と光と対話しながら育つ。
それは 命の意志そのもの。
自然農はその流れに逆らわず、
奪わず、短くしない。
🌏 自然農は、地球と宇宙への感謝の形
“なにも引かない命”とは、
命を損なわず
命を信じ
命の姿を尊重し
命の流れを奪わないこと。
それはそのまま、
地球への礼儀であり、
宇宙への深い感謝の形でもある。
自然の営みを信じ、
宇宙の時間に身を委ねたとき、
畑は静かな光を帯び始める。
タカキとミユキの畑は、
今日もその光の中で
ただ、命があるがままに育っている。
🔚 おわりに
なにも足さず
なにも引かず
自然の営みと寄り添う畑は、
人間の「心の畑」も耕してくれる。
今日のこの光景は、
間違いなくそんな“教え”をくれた一日だった。

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