一滴– tag –
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旧暦と歩く
境目は、音がしない
彼岸入り。 季節は、静かに線を越える。 冬から春へ。内側から外側へ。見えない場所で続いていたものが、光の側へにじみ出てくる。 けれど、その瞬間に音はない。 風が変わった気もするし、光がやわらいだ気もする。でも、それを「今だ」と言い切れる人は... -
余白ノート
完全変態‖サナギの中の宇宙
青虫は、 ある日、サナギになる。 外から見ると、 ただ静かに ぶら下がっているだけの小さな殻。 しかしその中では、 驚くべきことが起きている。 体は一度、 ほとんど液体のように分解される。 昨日まで葉を食べていた 筋肉も、内臓も、 形を保ってはいな... -
自然農
甘さは、時間が作る。
自然の恵み。 太陽の光。 乾いた風。 そして、時の流れ。 人間には作れないものだ。 軒先に吊るされた柿は 風に揺れながら ゆっくりと姿を変えていく。 最初は渋い。 柿が渋いのは タンニンという成分のため。 でも、 タンニン自体が強い味を持っているわ... -
七十二候
一滴💧|菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
羽は、 ある日突然生えるわけじゃない。 見えない時間が、 静かに形を変えていただけだ。 気づいたとき、 それはもう 空を飛んでいる。 -
自然農
土の宇宙①|収穫の隣で
朝の光の中で、 タカキは土から人参を引き抜いた。 まっすぐではない。 少し曲がり、泥をまとい、 それぞれが少しずつ違う形をしている。 でも、その不揃いさが この畑の時間そのものだった。 神通川の風。 冬の寒さ。 雨の日も、乾いた日も、 土の中では... -
七十二候
一滴💧|桃始笑(ももはじめてさく)
枝の先で、 ひとつ、ほどけた。 花は、 急がない。 気づいたら、 笑っていた。 -
灯
灯⑧|無明
灯があるなら 闇もある。 仏教では それを 無明 と呼ぶ。 明るくない。 光がない。 見えていない。 無明とは 悪ではない。 罪でもない。 ただ 見えていない状態。 人は 最初 無明の中にいる。 自分が 何者なのか。 世界が どう動いているのか。 生命が ど... -
灯
灯⑦|法燈明
自燈明。 自らを灯とせよ。 仏陀は そう語った。 だが その言葉には 続きがある。 法燈明。 真理を灯とせよ。 自分を灯とするだけでは 足りない。 人は 迷う。 勘違いする。 思い込みに 引きずられる。 だから もう一つ 必要になる。 法。 真理。 宇宙の法... -
灯
灯⑥|自燈明
人は 迷う。 生きていると 何度も迷う。 どちらへ進めばいいのか。 何を信じればいいのか。 答えを 外に探そうとする。 誰かの言葉。 誰かの教え。 誰かの成功。 そんなとき 仏陀は 静かに言った。 自燈明 法燈明 自らを灯とせよ。 真理を灯とせよ。 つま... -
ミトコンドリアシリーズ
灯⑤|走るという祈り
人は なぜ走るのだろう。 速くなるためか。 健康のためか。 大会でゴールするためか。 理由はいくつもある。 けれど 走り続けていると ふとした瞬間に すべての理由が消える。 呼吸だけが残る。 足音だけが残る。 風だけが流れる。 そのとき 人は 自分の外...