人は
心で走っているように見える。
だが本当は
細胞で走っている。
人の体には
およそ30兆個の細胞がある。
その多くの中に
小さな発電所がある。
ミトコンドリア。
酸素を使い
栄養を燃やし
生命のエネルギーを作る。
人が生きているということは
その小さな発電所が
休まず働いているということだ。
近年の研究で
あることが見え始めている。
うつ病の背景に
脳のエネルギー不足が関係している可能性。
炎症や慢性的なストレスは
ミトコンドリアの働きを弱め
脳は
十分なエネルギーを得られなくなる。
すると人は
理由もなく
気力を失う。
未来が暗く見える。
体が重くなる。
ここで
ひとつの事実がある。
ランナーには、うつが少ない。
これは世界中の研究で
繰り返し観察されている現象だ。
その理由の一つが
ミトコンドリア。
人が走るとき
筋肉は
膨大なエネルギーを求める。
体はそれに応えるため
ミトコンドリアを増やす。
走るほどに
細胞の発電所は増え
エネルギーは
作られやすくなる。
これは筋肉だけではない。
脳でも起きる。
つまり
走ることは
単なる運動ではなく
脳のエネルギー環境を変える行為でもある。
だからなのかもしれない。
走り終えたあと
世界が
少し明るく見えることがある。
問題が
少し小さく見えることがある。
あれは
気分だけの問題ではない。
細胞の中で
本当に
灯が増えている。
REBORN RUNNER。
この言葉は
ただの比喩ではない。
人は
壊れたあと
もう一度立ち上がる。
だが
その再生は
心から始まるのではない。
細胞から始まる。
走るたびに
ミトコンドリアは増え
体の奥で
新しいエネルギーが生まれる。
それはまるで
小さな光が
体の中に増えていくようだ。
REBORNとは
魂の話のように聞こえる。
だが
REBORNは
もっと静かな場所で起きている。
細胞の中。
ミトコンドリアの
小さな灯の中で。
人は
宇宙から生まれた。
星の爆発で生まれた元素が
集まり
細胞になり
生命になった。
そして
その生命の中にある
小さな発電所が
今も
光を生み続けている。
走るという行為は
その灯を
増やす行為なのかもしれない。
一歩
また一歩。
それは
距離を進んでいるのではない。
生命の火を増やしている。
REBORN RUNNER。
それは
人生を走り直す物語ではない。
細胞が、もう一度光り始める物語だ。

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