灯④|粒々に還るということ

人は

いつか死ぬ。

これは

誰もが知っている。

だが

本当に

消えるのだろうか。

人の体は

約30兆個の細胞でできている。

その一つ一つの中で

ミトコンドリアが

静かに働いている。

小さな発電所。

生命の灯。

走ると

その灯は増える。

体の中で

小さな光が

増えていく。

だが

その灯も

いつか消える。

生命は

必ず終わる。

では

そのあと

何が起きるのか。

体は

分解される。

細胞は崩れ

分子になり

原子になる。

そして

土に戻る。

空気に戻る。

水に戻る。

ここで

不思議なことがある。

原子は

消えない。

水素

炭素

酸素

窒素

それらは

宇宙が生まれてから

ずっと存在している。

つまり

人の体は

消えるのではなく

形を変えるだけ。

粒になる。

タカキが言った言葉。

粒々に還る。

これは

詩ではない。

物理の話だ。

宇宙は

粒でできている。

原子

電子

素粒子

すべて

振動している。

その振動が

星になり

地球になり

生命になり

ミトコンドリアになり

人になった。

つまり

人は

最初から

粒々。

走るとき

体の中では

無数の粒が

振動している。

ミトコンドリアが働き

エネルギーが生まれ

生命が動く。

REBORN RUNNER。

この言葉は

人生の再出発のように聞こえる。

だが

もっと静かな意味がある。

REBORNとは

粒が

もう一度振動すること。

生命は

一度だけの出来事ではない。

粒は

形を変えながら

永遠に

動き続けている。

人は

走り

生き

笑い

そして

粒に戻る。

だが

それは終わりではない。

粒は

また集まり

別の形になり

別の生命になる。

宇宙は

そうやって

動き続けている。

一歩

また一歩。

ランナーの足音は

地面に

小さな振動を作る。

その振動もまた

宇宙の振動の

一部。

REBORN RUNNER。

それは

人間の物語ではない。

粒々の物語。

走るたびに

生命は

振動する。

そして

いつか

静かに

粒々に還る。

それは

終わりではない。

宇宙に

帰るだけ。

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