彼岸入り。
季節は、静かに線を越える。
冬から春へ。
内側から外側へ。
見えない場所で続いていたものが、
光の側へにじみ出てくる。
けれど、その瞬間に音はない。
風が変わった気もするし、
光がやわらいだ気もする。
でも、それを「今だ」と言い切れる人はいない。
境目は、いつも気づかれないまま、
すでに越えている。
目次
サナギの中の宇宙
冬のあいだ、
動いていなかったわけじゃない。
土の中でも、
身体の中でも、
見えないところで、何かは進んでいた。
サナギの中で起きていることは、
外からはわからない。
けれど、確実に形は変わっている。
壊れながら、
組み替えられながら、
次の姿へと向かっている。
光と影がほどける日へ
彼岸の真ん中には、春分がある。
昼と夜がちょうど重なる日。
光と影が、争わずに並ぶ日。
どちらかが勝つのではなく、
ただ、そこにある。
その均衡に向かって、
今日という入口は、静かに開いている。
走ることも、同じだった
最近、思う。
走っているとき、
「今だ」と思う瞬間は、あまりない。
気づいたら整っていて、
気づいたら軽くなっていて、
気づいたら、前に進んでいる。
変わるときは、いつもそうだ。
音もなく、
境目だけが、後から見える。
一滴💧
境目は、音がしない。
けれど確かに、
内側で何かがほどけていく。
まだ見えない羽の気配だけが、
静かに、春を知っている。

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