土の宇宙③|見えない支え

芽が出たあと、

目に見えるものは、上へ伸びていく。

光を求めて、

空へ向かって。

けれど——

その下では、

もっと静かに、

もっと広く、

別の動きが続いている。

根は、下へ伸びる。

暗く、

湿った、

何も見えない場所へ。

なぜ、

上ではなく、

下へ向かうのか。

なぜ、

誰にも見えないところへ、

力を使うのか。

根は、

奪わない。

土の中で、

水と、

養分と、

微かなつながりを受け取りながら、

同時に、

何かを渡している。

見えない交換が、

続いている。

誰にも気づかれないまま。

上に現れるすべては、

ここで支えられている。

風に揺れる葉も、

やがて咲く花も、

その根の広がりの分だけ、

存在している。

見えないものが、

見えるものをつくっている。

土の中には、

静かな広がりがある。

そこには、

競争ではなく、

つながりがある。

押し上げる力ではなく、

支える力がある。

誰にも見えないところで、

すべては、

すでに始まっている。

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