第1話|2030年のデジャブー
2026年6月15日。
ワールドカップ初戦。
オランダ戦。
結果は2-2。
勝ち点1。
試合後のニュースを見た時は、
「常に先制されながらも、よく勝ち点1を取ったな。」
そんな感想だった。
ところが、録画を見終えた今、心に残っているのは結果ではない。
むしろ後半40分からの、あの数分間だった。
久保建英がピッチを離れた。
堂安はいない。
遠藤もいない。
三笘もいない。
数的不利。
スコアは1-2。
相手はオランダ。
昭和のサッカー少年だった私なら、
「ここまでか。」
そう思っていたはずだ。
世界は甘くない。
よく頑張った。
そんな結末を受け入れる準備をしていた。
ところが、実際に起きたことは真逆だった。
押し込んでいたのは日本。
ボールを握っていたのも日本。
焦っていたのはオランダだった。
私は一瞬、自分の目を疑った。
なぜだろう。
なぜ主力がいなくなった後の方が、日本は前に出ていくのだろう。
昔の日本代表は、誰かが時代を背負っていた。
カズがいた。
中田がいた。
中村俊輔がいた。
本田がいた。
香川がいた。
その存在に夢を見た。
だからこそ、彼らがいなくなる未来が少し怖かった。
でも今の日本は違う。
誰かがいなくなったら終わりではない。
その先に、また次の誰かがいる。
しかも代役ではない。
その選手自身が、次の時代の主役かもしれない。
そんな予感を抱かせるほどの層の厚さがある。
そして迎えた終盤。
鎌田の頭をかすめたのか、かすめていないのか。
本人もよく分かっていなさそうな同点ゴール。
気づけば私は笑っていた。
スーパースターが奇跡を起こしたわけじゃない。
チーム全体で押し込み続けた先に転がり込んだ一球だった。
あの日、私が見たのは2026年の日本代表ではない。
2030年の日本代表だったのかもしれない。
久保がいなくても。
堂安がいなくても。
遠藤がいなくても。
三笘がいなくても。
なお前へ進む日本。
AIの進化も凄まじい。
数年前には想像もしなかった世界が、今こうして目の前にある。
けれど、この日のオランダ戦を見て思った。
進化しているのはAIだけじゃない。
日本サッカーもまた、想像を超える速度で進化している。
ワールドカップ優勝。
昔なら夢だった。
でもあの日の後半40分からの景色は、
それを夢ではなく、
目標に見せてくれた。
4年後が楽しみだ。
そんなことを本気で思わせてくれた、
2026年6月15日の夜だった。💧

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