芒種。
穂先に芒を持つ植物の、
種をまくころ。
麦は実り、
田には水が入り、
土の中では、
次の命が静かに準備をはじめる。
刈り取るものがあり、
植えるものがある。
終わりと始まりは、
別々に来るのではない。
同じ畑の上で、
同じ雨の中で、
同時に起きている。
朽ちた草は、
ただ消えるのではなく、
蛍の光へと姿を変える。
落ちた実も、
忘れられた種も、
土の中で眠りながら、
また別の季節を待っている。
芒種。
それは、
命を急がせる季節ではなく、
命が受け渡されていくことに
気づく季節なのかもしれない。
今日、土に触れる手の中にも、
昨日までの命と、
明日からの命が、
一緒にある。

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