七十二候– category –
-
七十二候
一滴💧|七十二侯|牡丹華(ぼたんはなさく)
静けさの中で、 ゆっくりと、 ほどけていく。 ひとつの花が、 重みを持って、ひらいた。 ⸻ 春になると、 同じものが、 名前を変える。 ぼた餅。 牡丹の花に見立てて、そう呼ばれる。 秋には、 同じものが、 おはぎになる。 萩の花に見立てて、そう呼ばれる... -
七十二候
一滴💧|七十二侯|霜止出苗(しもやみてなえいづる)
冷えは、去り、 土が、ゆるんだ。 ためらいなく、 双葉がひらいた。 霜が降りなくなったことを、 昔の人は、温度計で知ったわけではない。 朝、外に出たときの、空気のやわらかさ。 土に触れたときの、冷たさの抜け方。 そのわずかな変化の中で、 「ああ、... -
七十二候
一滴💧|七十二候|葭始生(あしはじめてしょうず)
水の縁に、 細い緑が立つ。 風に触れれば、すぐにでも折れてしまいそうなほどの、頼りなさ。 それでも、その一本は、確かにそこにある。 葭(あし)は、弱い。 強く張るわけでもなく、目立つわけでもなく、 ただ、水と土のあいだに立ち、 風に揺れながら、... -
七十二候
一滴💧|虹始見(にじはじめてあらわる)
雨が去ったあと、 空は、少しだけ軽くなる。 濡れた地面の匂いと、やわらいだ光が混ざり合い、 景色の輪郭が、ゆっくりとほどけていく。 そのとき、 気づくか、気づかないかのあいだに、 空に、色が浮かぶ。 誰かに教えられるものではなく、見ようとしなけ... -
七十二候
一滴💧|鴻雁北(こうがんかえる)
高く、 連なっていた。 見ている間に、 小さくなった。 -
七十二候
一滴💧|玄鳥至(つばめきたる)
低く、 風を切った。 見上げる前に、 もう来ていた。 -
七十二候
一滴💧|雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)
空が、少しだけ重くなる。 光はあるのに、どこか遠い。 風が止まり、音も減る。 その静けさの奥で、 ひとつ、鳴った。 まだ、ここには来ていない。 けれど、 確かに、近づいている。 -
七十二候
一滴💧|桜始開(さくらはじめてひらく)
枝の先に、ひとつだけ。 まだ、ほとんどは蕾。 でも、もう隠れない。 -
七十二候
一滴💧|雀始巣(すずめはじめてすくう)
同じ枝に、何度も戻る。 くわえているのは、小さなもの。 でも、そこに暮らしがある。 -
七十二候
一滴💧|菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
羽は、 ある日突然生えるわけじゃない。 見えない時間が、 静かに形を変えていただけだ。 気づいたとき、 それはもう 空を飛んでいる。
12