モロッコへ。届かなかった場所まで、もう一度戻ってきた国。
モロッコが負けた。
フランスは速かった。
エムバペだけではない。
デンベレも、周りの選手たちも、ボールの動きも、判断も速かった。
見ているこちらの思考を、
フランスのボールが追い越していくようだった。
あれをどう止めればいいのか。
そんなことを思いながら見ていた。
でも、試合が終わってから、
少し受け止め方が変わった。
モロッコは、ただフランスに負けた国ではなかった。
2022年。
アフリカ勢として初めてワールドカップのベスト4まで進み、
その夢を止めたのがフランスだった。
そして2026年。
モロッコは、もう一度そこに近い場所まで戻ってきた。
アフリカ予選を勝ち抜き、
本大会でブラジルと渡り合い、
オランダを越え、
カナダを沈め、
再びフランスの前に立った。
届かなかった。
けれど、逃げたわけではない。
もう一度、そこまで戻ってきた。
これは簡単なことではない。
ワールドカップのベスト8は、
勢いだけで辿り着ける場所ではない。
国の時間がある。
積み重ねがある。
前回大会の記憶がある。
悔しさがある。
そして、もう一度挑む覚悟がある。
フランスのスピードは確かに異次元だった。
でも、モロッコには、
そのスピードにもう一度向き合うだけの物語があった。
勝った国だけが、光を浴びるわけではない。
負けた国にも、
そこに辿り着くまでの時間がある。
モロッコは負けた。
でも、軽くはなかった。
2022年の奇跡を、
2026年にもう一度、実力として証明しにきた国。
届かなかった場所まで、
もう一度戻ってきた国。
そして、この国は2030年、
スペイン、ポルトガルとともに
ワールドカップを迎える側になる。
2022年、世界を驚かせた。
2026年、もう一度そこへ戻ってきた。
2030年、今度は自分たちの国で世界を迎える。
そう思うと、
今回の敗北も終わりには見えない。
モロッコへ。
その敗北には、
ちゃんと重みがあった。
そしてきっと、
この国の物語はまだ終わっていない。

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