静けさの中で、
ゆっくりと、
ほどけていく。
ひとつの花が、
重みを持って、
ひらいた。
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春になると、
同じものが、
名前を変える。
ぼた餅。
牡丹の花に見立てて、
そう呼ばれる。
秋には、
同じものが、
おはぎになる。
萩の花に見立てて、
そう呼ばれる。
中身は変わらない。
けれど、
季節が変わると、
見え方が変わる。
昔の人は、
物の形ではなく、
その時の景色で、
名前をつけていた。
牡丹がひらく頃、
その丸みと、
やわらかな重なりは、
甘さとしても、
感じられていたのかもしれない。
花を見て、
食べものを思い、
食べものから、
また季節を思い出す。
そうやって、
暮らしと季節は、
静かに、
つながっていた。
いま、
目の前にあるものも、
見方ひとつで、
違う季節の中に
置き直せるのかもしれない。

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