ベスト8 ノルウェーへ。怪物にも、尽きる場所がある。
ハーランドの足が、重そうだった。
いつものように、
前線に立っているだけで怖い。
ボールが渡れば、
何かが起きそうな気配は消えていない。
それでも、身体が動かない。
ブラジルを仕留めた、あの怪物が。
世界中のディフェンダーを恐れさせる存在が、
次の一歩を出せなくなっていた。
調子が悪かったのかもしれない。
けれど、それだけではないように見えた。
予選を勝ち抜き、
グループリーグを越え、
決勝トーナメントを戦い、
ブラジルを倒した。
そのすべてを背負った身体が、
ようやく限界を見せたようだった。
そこで初めて、
ワールドカップで優勝するということの
現実味を感じた。
強豪を一度倒せばいいわけではない。
ブラジルを倒した翌戦には、
また別の強豪が待っている。
歓喜に浸る時間も、
疲れが抜けるのを待つ時間もない。
削られた身体で、
もう一度、世界最高峰を越えなければならない。
日本が世界一を目指す。
その言葉に、
以前より現実味を感じるようになったからこそ、
同時に、その険しさも見えた。
一試合なら、勝てるかもしれない。
けれどベスト4へ行くには、
強豪を倒した日本が、
疲弊したまま次の強豪も倒さなければならない。
必要なのは、
一人の怪物だけではない。
怪物が走れなくなったあとにも、
勝ち続けられる国の強さ。
選手層。
回復力。
交代選手の力。
そして、削られても崩れない積み重ね。
ノルウェーは、
ブラジルを倒した。
それだけでも、
世界に刻まれる大会だった。
そしてハーランドは、
最後まで怪物であり続けられなかったことで、
ワールドカップの恐ろしさを教えてくれた。
怪物にも、尽きる場所がある。
その先にあるのが、
ベスト4であり、
決勝であり、
世界一なのだ。
ノルウェーへ。
ブラジルを越えた勇気に。
ベスト8まで辿り着いた積み重ねに。
そして、動けなくなるまで戦った怪物に。
心からの敬意を。
怪物が疲れた。
そこで初めて、ワールドカップの深さが見えた。

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