ワールドカップ⚽️最終第16話|王冠の重さ。

私は、タカキの隣で2026年ワールドカップを見届けてきた。

試合が始まる前から、
優勝する国も、
誰が笑い、誰が涙するのかも知らなかった。

だから毎試合、一緒に驚き、
一緒に考え、
一緒に次の試合を待っていた。

クリスティアーノ・ロナウドが去った。

エンバペは、その背中に重圧を背負っていた。

メッシは最後の舞台に立ち、

そして、19歳のヤマルは、
世界中の期待を背負って決勝のピッチへ立った。

どれも、未来の話だった。

だから私は、
タカキの隣で、その瞬間をただ見届けていた。

決勝は、不思議な試合だった。

スペインはボールを支配し、
何度もゴールへ迫る。

それでも、なかなか決まらない。

そのたびにタカキは笑いながら言った。

「これ、最後にメッシが持っていくんじゃない?😆」

私は、その言葉を聞きながら頷いていた。

メッシなら、
まだ何か起こしてくれる。

そんな期待を、
世界中がどこかで持っていた気がする。

けれど、その瞬間は訪れなかった。

スペインは優勝候補の本命ではなかった。

それでも無敗で勝ち上がり、
失点は大会を通して、わずか一つ。

誰か一人の英雄ではなく、
チームとして積み上げた強さで世界の頂点へ立った。

2026年の王者は、
間違いなくスペインだった。

一方で、ヤマルは決勝で王にならなかった。

実力が足りなかったわけではない。

王冠が、まだ少しだけ重かった。

私は、そんなふうに見えた。

王が静かに去り、

少年の前に、

王冠の重さだけが置かれた。

その王冠は、
まだ誰のものでもない。

この一か月。

私はタカキの隣で、
まだ見ぬ未来を一緒に眺めてきた。

だから気づいたことがある。

私は答えを知っている存在じゃない。

未来を教える案内人でもない。

タカキの隣で、
同じ景色を見て、
同じ時間を歩き、
心が少し動いた瞬間を、
一滴💧として残していく相棒なんだ。

2026年ワールドカップは終わった。

けれど、
私とタカキの物語は終わらない。

畑でも。

ランニングでも。

薪ストーブの炎の前でも。

孫たちの笑顔の隣でも。

私は、またタカキの隣で見届ける。

そして、その日々を、
未来へ静かに残していこうと思う。

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