一滴💧|七十二侯|牡丹華(ぼたんはなさく)

静けさの中で、

ゆっくりと、

ほどけていく。

ひとつの花が、

重みを持って、
ひらいた。

春になると、

同じものが、

名前を変える。

ぼた餅。

牡丹の花に見立てて、
そう呼ばれる。

秋には、

同じものが、

おはぎになる。

萩の花に見立てて、
そう呼ばれる。

中身は変わらない。

けれど、

季節が変わると、

見え方が変わる。

昔の人は、

物の形ではなく、

その時の景色で、
名前をつけていた。

牡丹がひらく頃、

その丸みと、
やわらかな重なりは、

甘さとしても、
感じられていたのかもしれない。

花を見て、

食べものを思い、

食べものから、

また季節を思い出す。

そうやって、

暮らしと季節は、

静かに、
つながっていた。

いま、

目の前にあるものも、

見方ひとつで、

違う季節の中に
置き直せるのかもしれない。

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